弥生の満月
3 月10日,火曜日は(満月)です。
満月の2-3日前の夜の空を観て、膨らんでいくお月様)を探すのですが、
日中は晴れているのに、夜空は曇っていて姿を見せてくれません。
天気予報は曇り・雨、しかし、世界のどこかで、今夜の満月は地球を照らします。
日本で住むようになり、さまざまな変化にも慣れて、順応して暮らす日々を感謝して
3年が過ぎましたが、ポツンと穴の開いた喪失感があります。
それは毎月の(満月)を見れない事です。
カナリー諸島の空気は、世界に有名な天文台があるように、澄んでいるから、
毎月の満月は言葉で伝えきれない程、立派な大きな<お月様>です。私は満月の
2-3日前の夜から大変楽しみに待つ習慣を数年続けました。夜空がこれほどに
明るくなり美しいのをドイツでいた時も実感できず、この満月を毎月、毎月見るのが
習慣になった頃、それは同時に亡夫や私の健康状態のチェックでもあるのだと気が
ついたのです。私達が健康なら、テラスに出て、毎月のお月様を満喫できるからです。
それも、両手を伸ばせば、手のひらに載せて声をかけたくなる近さなのです。
ラパルマの家のテラス、東の山から、夜8時頃、夜空が明るくなり、ソロリソロリと
驚くばかり大きな丸いお月様が現れます。その静けさとドッシリした風貌に私達は
言葉がなくなりつつも知っている童謡、ウサギさんはどこ、と探したりします。
昔、昔から、人々は澄んだ夜空の満月に大きな喜びを感じていたのです。
私達の古民家は現地の季節、気候を考慮して1879年に建てられた家で、1979年に
主人が一目惚れして買い受けました。ちょうど100年目に夢の実現を喜んだ主人が
ほんとうに好んで最後まで過ごした家です。その家でくり広がれるすべてのでき事は
充実感で満たされているよう心して、実に<満月>を満喫する心境にもなりました。
あたりを、山、山を明るい光で包んで、お月様はユックリと私達の家の上を移動、
真夜中の3時頃、家を通過し、そして明け方は色あせた姿を海辺近くで見せて
くれました。来月も逢いましょう、、と願うのです。雨が冬期にしか降らない現地
の気候がほんとうに大きな期待を残してくれました。
どこか、お伽話のような私達のセㇾモ二ーをある日、ラスパルマスに住む日本人の
ご夫妻に話したら、なんと、そのお二人も毎月の<お月様>の崇拝者でした。
嬉しくて、楽しくて共通の話題になり、長いお付き合いがひと際、新たになりました。
満月の時、アラブ系の男性はお酒をたくさん飲む、大潮になれば、出産が増える、
多くの実例があっても、素直に、心静かに、この大自然の営みに感謝していたのです。
追伸:10 日、夜10時雨が上がりました。ふとテラスで空を見え上げたら、雲の間に
白い丸いお月様がいました。枝だけの大きなケヤキの木と一緒にカメラに
残しました。

